RIAコンソーシアム・ビジネスセミナーXII に行ってきました

昨日、竹芝で開かれた RIAC のセミナーに行ってきました。
そこで聞けた話をつらつらメモなどしてみます。
不要だと思ったことは書きませんし、聞き逃しや間違いもあるかもしれませんのでご了承を。間違いに気付かれた方はご指摘頂けるとこれ幸いかなと。

アドビシステムズ株式会社 轟 啓介さんの講演

■テーマ アドビのRIA戦略とFlashCatalystによるデザイナー/デベロッパー協業の可能性

まず、Flash Player 10 が持つ新機能についての話がありました。

  • クリエイティブ表現
  • ビジュアルパフォーマンス
  • リッチメディア
    • サウンド API
    • ダイナミック・ストリーミング
    • 新オーディオコーデック(Speex)
    • UDP ベースの次世代コミュニケーション(RTMFP)

といったものがあるようです。
Flash Player 10 自体はデザイナーとデベロッパーの双方をターゲットに開発したとのことです。

それから Flash Catalyst で UI コンポーネントを作成するデモが見れました。
デモは Illustrator で書いた絵(ボタンや縦スクロールバーとなる幾つかからなる絵)から Catalyst を使って一切コーディングレスで実際に動かすことの出来る部品を作成するデモと、お友達リストという複数のページからなるインタラクションを持つをものを作成するデモを披露してくれました。
Flash Catalyst で作成したものは FXP と言う形式で保存されて、次期 Flex Builder からその FXP をインポートすることが出来るようなので、そこからはデベロッパーが引き継いでロジックを埋め込んでいって完成させていくといった感じになるみたいです。
Flash Catalyst を使用する人は主にデザイナを対象としているとのことです。(勿論デベロッパーが使用しても可)

そして Flash Catalyst をプロジェクトの早期から使ってプロトタイピングすることで、ユーザーとのイメージを共有することがしやすくなると言った話もありました。

最後に、一旦完成した部品は誰が、どのように、何を使ってメンテナンスしていくのかという質問をさせてもらいました。
回答としては FXP と言う形式で保存しておくことで、Flash CatalystFlex Builder から変更することが出来て、また Catalyst から Illustrator とかのアプリケーションを起動することが出来るので見た目の変更も出来るとのことです。更に、そのように変更された部品を Flex Builder で開くと変更を検知してくれるらしいのでどこをどう変更すればよいのか判断ができるようです。

マイクロソフト株式会社 神原 典子さんの講演

■テーマ Silverlight3とWindows7

Silverlight 3 の話を聞きました。7月位にリリース予定だそうです。
特徴はこんな感じだそうです。

  • メディア配信機能
    • ネットワーク帯域やクライアントPCの負荷状況に応じてビットレートを制御することでスムーズな映像を配信可能(IIS7.0の機能に Silverlightが 対応)
  • グラフィックスの表現力向上
    • 擬似3Dのサポート(これまで WPF では使えたものの Silverlight では使えなかった)
    • ビットマップキャッシングでレンダリングパフォーマンスの向上(約4倍)、API の追加
    • テーマの提供
    • アプリケーションの外部からスキンを変更が可能
    • テキスト描画の改善
  • 開発生産性の向上
    • 新たに60以上のコントロールを追加、全部で160以上のコントロール
    • アプリケーションのアーカイブ形式である XAP は検索エンジンのクローラがインデックス作成可能で、SEO 対策にかける時間も縮小
    • .NET RIA Services Framework を使用してN階層アプリケーションを2階層のようにシンプルに開発を進めることが可能
    • パフォーマンスの改善
      • アセンブリキャッシング。パッケージ分割することによってダウンロード効率向上
      • ディープズームのパフォーマンス改善
      • バイナリ XML のサポート
      • サーバを介さない Sliverlight アプリケーション間の通信(同一ドメインのアプリであれば別タブ、別ブラウザでも通信可能)
    • アクセシビリティ向上。OSが提供するシステムカラーが利用可能、ハイコントラストなど設定可能
  • オフライン実行機能
    • コンテキストメニューからインストール、アイコンの作成、アンインストールが可能
    • 更新検知、自動更新機能
  • 開発ツールの強化
    • Expression Blend 3
      • スケッチフロー。画面遷移などを含むプロトタイプも簡単に作成可能
      • IllustratorPhotoshop のファイルインポート機能
      • コードレスでアニメーション設定が可能
      • データグリッドで使用するサンプルデータの自動作成
      • チーム開発機能強化

それから、Expression Blend 3 のデモを披露してくれました。
画面のアイコンを矢印で繋げていくことで画面フローを作成できたり、Flash Catalyst と同様に、IllustratorPhotoshop で描いた絵を部品に変換したりといったことが出来るようです。
また、ユーザーに見せる為の画面遷移図などのドキュメントを Word で出力するなどの機能も持っているようです。紹介に出てきたのは英語で出力されていたのですが、日本のユーザーに見せるならば当然日本語で出力されないと困ると思いますが、その辺の話は聞けませんでした。

あと、最初に Windows 7 のマルチタッチ機能という話がありました。これは指で画面に直接触れて操作するもので、普通のタッチパネルと違うのは複数の指を同時に使って操作できるというものです。現状はハードウェアの制限から2本の指の動きまで認識できるとのことです。実際はプログラム的な制限は無く、マイクロソフトアメリカで発売している(これから発売される?)サーフェスというハードウェアであれば最大52本まで対応可能だそうです。ただ、イベントハンドリングなど API が複雑でプログラムが難しくならないのかなあなんてちょっと心配な気がしますが...アプリケーションは簡単に作れるんでしょうか。

サン・マイクロシステムズ株式会社 橘 賢二さんの講演

■テーマ JavaFXについての概要と技術動向について

JavaFX は先の2つと比べて後発である分、JavaFX そのものの認知度を高める目的の話が中心だったような気がします。

JavaFX の魅力には以下のようなものがあります。

  • すべてデバイスで使用可能な RIA 環境
  • 高速処理、高信頼性
  • 無料
  • 簡単。宣言型の GUI 特化言語
  • Java の資産を有効に活用可能

JavaFX のメインターゲットはクリエーターだそうです。そして3年計画があるみたいです。
まず2009年

  • Web 開発者の RIA 開発促進(グラフィックデザイナーと共同開発)
    • メインターゲット:Web 開発者
    • セカンドターゲット:テクニカルデザイナー

次の2010年

そして2011年

  • デザイナーからの受け入れ
    • メインターゲット:Web デザイナー
    • セカンドターゲット:コンシューマー

ところでクリエーターとは一体誰を指しているんですかと橘さんに直接伺ったところ、クリエーターとは Web の開発者全体を指しているそうです。で、今年はその全体をターゲットとしているという話をしてくれました。

それから2008-2009年の主なロードマップとしては以下のような感じになるそうです。

  2008年12月 2009年2月 2009年5,6月 2009年後半
プラットフォーム 1.0 1.1 1.2 2.0
ツール SDKNetBeans プラグイン、Media Encoder (On2) RAD ツール モバイルエミュレータ デザイナーツール (Preview) デザイナーツール正式版
発表 11/10 JavaFX.com WMC'09 JavaOne'09 MAX'09

それから、NetBeans を使って簡単にアプリケーションが作成できるといったデモや、多国語対応も簡単といった話、JavaFX の採用事例として Sun Streaming System と言うものを使った動画配信の話がありました。

最後に感想

期待を裏切られること無く、最近自分が気になっていた話が聞けてかなり満足できました。
JavaFX ユーザーグループつながりとして、橘さんとも直接話ができて良かったです。
それから、最近どこか自分の中で気になる話であったデザイナーとデベロッパー(プログラマー)との協働については、3社とも同様の方向性の意識を持っていて、AdobeFlash CatalystFlex Builder 4、MicrosoftExpression Blend 3、Sun の Production Suite やデザイナーツールといったものがこれからどしどし出てきて土台は作ってくれそうなので、後はこれらを使う側が(デザイナーとデベロッパー)がどう受け取るかですね。でも実際のところデザイナーとデベロッパーが勤めている会社が違うんですよね。通常...。パートナー企業としての協業が一番考えられるケースでしょうか。